はじめに
腕時計は今やスマートフォンやスマートウオッチで代替できる時代です。しかし機械式時計には「時を刻む音」「歯車が動く仕組み」「世代を超えて受け継げる楽しみ」といった特別な魅力があります。特に初めて機械式時計を購入する人にとって、価格は大変重要な要素です。そこで今回は、5万円以下で手に入るエントリーモデルを選ぶ際のポイントを解説し、どのようなポイントを押さえれば満足度の高い一本に出会えるかを紹介していきます。
ただし、これから書く記事は、私が販売員時代に学んだことと実際に私が機械式腕時計を購入しながら学んだことを踏まえて書かれています。そのため、私の独断と偏見が含まれているため必ずしも正しいわけではありません。その旨ご了承ください。私のスタンスとしては、値段やブランドにこだわらず自身が気に入ったものを購入することがベストだと思ってします。
ブランドを知ることが第一歩
5万円以下の機械式時計を選ぶ際には、まず国産ブランドに注目していだきたいです。特におすすめは国産ブランドであるセイコー、シチズン、オリエント、カシオ(2025年夏ごろから販売され始め、今までは製造していなかった)の4社です。これらのブランドは世界的にも評価が高く、価格帯が抑えられていても信頼性がしっかりしています。取り扱い店舗が多く、何かあった時には販売店に持っていけば簡単に修理できます。また、メンテナンスや部品供給の安心感もあり、初めて機械式時計を購入する方にとって心強い存在です。
防水性能は使用シーンで決める
時計の防水性能も重要なポイントです。普段使いであれば10気圧防水があれば十分ですが、水泳やアウトドアでの使用を考えるなら20気圧以上のダイバーズ規格を選んだ方が安心です。5万円以下のモデルでもダイバーズ仕様のものが多く存在します。購入前に自分のライフスタイルを振り返り、どの程度の防水性能が必要かを考えて選びましょう。
風防素材で耐久性を確認する
時計の文字盤を守るガラス部分は「風防」と呼ばれます。主な素材は硬度の高い順に、「サファイアクリスタル」、「ミネラルガラス(強化ガラス)」、「プラスチック(アクリルガラス)」の3つです。低価格帯ではミネラルガラスやプラスチックが使われることが多いですが、サファイアクリスタルを採用したモデルなら傷がつきにくく長持ちします。個人的に、長期的に使うことを考えると値段は高くなりますが、サファイアクリスタルをおすすめします。日常的に使うと机や壁などに以外にぶつけることが多く、耐久性が高いことに越したことはないと考えています。
サイズ感を意識する
時計はデザインだけでなく、サイズ感も非常に重要です。一般的に日本人男性にはケース径40mm前後がちょうど良いとされていますが、手首が細い方には36〜38mmのモデルがバランスよく見えます。大きすぎる時計はカジュアルすぎたり、逆に小さすぎると存在感が薄れてしまいます。実際に装着してみることで、自分に合ったサイズを確認するのが最も確実です。
昔、デカアツムーブという文字盤もケースも大きいものが流行ったことがあり、私も安価もの買いました。しかし、手首が曲げにくかったり、重くて付け心地が悪く、結果身に着けなくなってしまいました(タフな感じが良いなと思い実際に購入したことがあるので、デカアツの時計を否定するつもりは全くありません)。
大きい時計もそうですが、店舗で実際に試着してみて付け心地を確認してから買うようすることをおすすめします。
デザインと用途のバランスを取る
機械式時計を選ぶ際には、デザインと用途のバランスを意識することが大切です。ビジネスシーンで使うならシンプルで上品なドレスウォッチ、休日のカジュアルスタイルにはスポーツ系やミリタリーデザインが向いています。5万円以下の価格帯でも幅広いデザインが揃っているため、自分のライフスタイルに合った一本を探す楽しみがあります。
ただ、使用シーンで使い分けができるほど何本も買うことはできないので、最初の1本目はオンもオフも両方身に着けることができるよなシンプルなデザインのものをおおすすめします。
個人的には針が時針、分針、秒針の3針モデルや秒針だけが文字盤の6時位置などに独立して配置されているスモールセコンドをおすすめします。また、ストップウォッチ機能を搭載したクロノグラフもおしゃれでかっこいいですが、スポーティーなモデルなためフォーマルな場である葬儀や法事などの場面には向きません。ビジネスシーンで使用する分には問題ないので、フォーマルな場に身に着けていかなければクロノグラフも視野に入れても問題ないと思います。
メンテナンス費用も考慮する(詳しくは前回の記事へ)
機械式時計は購入して終わりではありません。数年ごとにオーバーホールと呼ばれるメンテナンスが必要です。費用はおおよそ2〜4万円程度かかるため、購入価格が安くても維持費はある程度かかります。長く使いたいのであれば、定期的なメンテナンスも視野に入れて計画的に考えておきましょう。
レビューや評判をチェックする
実際にその時計を使っている人のレビューや評判を確認することも大切です。精度の安定性、装着感、耐久性など、カタログだけでは分からない情報を知ることができます。特に5万円以下の機械式時計はコストパフォーマンスが重視されるため、実際のユーザーの声は非常に参考になります。
中古市場も活用する
新品にこだわらない方であれば、中古市場も狙い目です。既に廃盤になった人気モデルが手頃な価格で出回っていることがあります。例えば、昔気になっていたセイコーやオリエントの古いモデルなどは中古でしか手に入らない場合があります。状態や保証の有無をしっかり確認すれば、新品では出会えない一本に出会える可能性もあります。
まとめ

5万円以下の機械式時計を買うときの選び方のコツは、国産ブランド、防水性能、風防素材、サイズ感、デザイン、メンテナンス費用、レビュー、そして中古市場の活用まで、多角的にチェックすることです。特に国産ブランドのエントリーモデルは信頼性が高く、初めて機械式時計を購入する人にとって非常におすすめです。
5万円以下でも、自分の用途に合った一本を選べば長く愛用できる相棒となります。ぜひこの記事を参考にして、自分にとって最適な機械式時計を探してみてください。きっと予算内で満足できる一本に出会えるはずです。


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